2025.05.31
私たちのものづくりにおいて、「かせ染め」は欠かせない技術です。
そして、その「かせ糸」は、染めただけでは商品として完成しません。
実はその後、「糸巻き(=コーンアップ)」という工程を経て、はじめて編み機で使用できる形に整えられます。
この糸巻き作業こそ、表に出ることの少ない、それでいて非常に重要な工程です。
一つひとつの糸を丁寧に巻き上げていく手作業には、経験と技術が必要です。
これまでは、長年地域で支えてくださった内職さんたちのお力を借りて、私たちの糸は形になってきました。
しかしながら——
時代の流れとともに、その大切な担い手が年々減少しているのが現実です。
高齢化や就労スタイルの変化により、糸巻きをお願いできる人がますます少なくなっています。
巻いてこそ納品できる。
巻いてこそ商品になる。
その当たり前が、今や当たり前ではなくなりつつあります。
このままでは、お客様の期待に応えられない日が来るかもしれない。
そう感じたからこそ、私たちは「内製化」という大きな決断をしました。
そしてこのたび、糸巻き作業を自社で担っていくための新工場が完成しました。
私たちにとって、これはただの施設の増設ではなく、まさに「未来への種まき」です。
新工場にはコーンアップ専用の設備を導入し、社内で少しずつ糸巻き体制を整え始めています。
「巻ける体制が社内にある」
という安心感が、やがてお客様との信頼にもつながると信じています。
内製化により、今まで以上に工程管理がしやすくなり、その結果、納期の安定や品質の向上にもつながるはずです。
すべては、私たちを信じてくださっているお客様に、これからも確かなものを届け続けるための挑戦です。
染めの文化は、簡単には消えない。私たちはそう信じています。
とはいえ、ただ待っているだけでは守れない。むしろ、変わり続けることが、守り続けることにつながる。
だから私たちは、少しずつでも、前に進んでいきます。
この新工場を起点に、次の未来へ。
ものづくりの現場から、静かだけれど確かな革命が始まっています。
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