2025.06.05
先日ご報告させていただいた糸巻き内製化への一歩として、私たちはこのたび、イタリア・FADIS社の最新糸巻き機を導入いたしました。
FADIS(ファディス)社といえば、ヨーロッパを代表する糸巻き機の名門です。
その歴史をたどると、長い実績に裏打ちされた信頼があり、世界中のテキスタイル工場で高く評価されています。
そのような背景から、FADIS社の最新モデルを私たちの新工場に迎え入れることができたことを、心から誇りに思っています。
この糸巻き機の最大の特長は、何といってもすべてがコンピュータ制御であるという点です。
巻き取りのスピード、糸のテンション、硬さ、角度——
これまで職人の経験に頼っていた繊細な調整を、今では驚くほどの精度で自動化できるようになりました。
その結果、これまで使っていた機械では時間がかかっていた工程も、FADIS社の機械では圧倒的にスピーディーかつ均一な仕上がりに。
とりわけ糸の巻き加減ひとつで、次の工程である編み立てのしやすさが大きく変わります。
特に注目すべきは、編み機を扱うニッターさんにとっての「巻きの安定性」が、仕事のしやすさに直結する点です。
とはいえ、すべてを新しい機械に置き換えるというわけではありません。
私たちがこれまで大切に使ってきた古い巻き機にも、もちろんまだまだ活躍の場があります。
手巻きに近い感覚で巻ける機械、細かいニュアンスに応えてくれる機械——
このようにアナログだからこそできる仕上がりが必要な糸も、確かに存在します。
だからこそ、「最新」と「熟練」の良さをうまく使い分けることが、今の私たちの強みになると信じています。
言い換えれば、効率化だけではなく、品質とのバランスを取ること。
それこそが私たちが追求するべき姿であり、まさに今、その環境が整いつつあります。
これからも、“ただ便利なだけ”ではなく、“お客様にとって本当に良い糸”をお届けするために、
設備と向き合い、人と向き合い、ものづくりを続けてまいります。
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