2025.10.02
みなさん、「異色染め」って聞いたことありますか?
普段着ているスウェットやパーカーにも、実はこの技術が使われていることがあるんです。
例えば、一見同じ色に見える生地でも、よく見ると少し杢っぽく見えることがあります。
これは、異なる素材が混ざっていることで生まれる自然な表情なんですよ。
アクリル50%・ナイロン50%のような複合素材は、素材ごとに染まり方が異なるのが特徴です。
アクリルは鮮やかに発色しやすく、ナイロンは柔らかく落ち着いた色になりやすい、といった具合に、それぞれの素材に個性があります。
この特性を活かすことで、全く違う色を同時に染め分けることが可能なのが「異色染め」の面白さです。
たとえば「同じ生地なのに、部分ごとに色の雰囲気が違う」といった表現もでき、単色では出せない深みや立体感のある生地に仕上がります。
技術的には、アクリルとナイロンでは使用する染料が異なります。
この染料の特性を利用して、それぞれの素材を狙った色で染め分けることで、複合素材ならではの豊かな表現が可能になるのです。
よく見るグレーのスウェットやパーカーも、実は異色染めの応用例です。
表面は淡いグレーでも、繊維の組み合わせによって微妙に色味が変わり、自然で柔らかな杢っぽい風合いが生まれます。
また、見た目だけでなく、触ったときの質感や風合いまで変わるため、着心地にも影響します。
そのため、異色染めの生地は、ただの「色付き生地」ではなく、手に取る人の感覚にも豊かさを与える素材になるのです。
さらに、異色染めは色だけでなくデザイン表現の幅も広げてくれます。
例えば同じ裏毛生地でも、パーツごとに微妙に色を変えたり、部分的に濃淡をつけたりすることが可能です。
つまり、「こういう色にしたい!」というこだわりを、一緒に形にすることができます。
そのため、出来上がった商品には自然と愛着が湧きますし、私たち大同染工も、お客様と共に作り上げるこの過程に大きな誇りを感じています。
異色染めは、ほんの少しの素材や色の違いで表情が変わる魔法のような技術です。
そのため、服作りの世界は、案外身近でありながらも奥が深く、とても楽しい世界でもあります。
ぜひ、異色染めの微妙な色の変化や風合いに注目してみてください。
「こんなこともできるんだ!」と感じてもらえると、私たちも嬉しいです。
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